警察に拘束された理由
【42日目3】 アメリカ合衆国ニューヨーク州
10月下旬のニューヨークの夜は、やや肌寒い。
疲れ果てた体を休めるには堅すぎ、冷たすぎるスチール製の机の上で、胎児のように丸まるが、外気と机に体温が奪われてゆく・・・。
横になって20~30分も経った頃だろうか、電話口に呼ばれた。
どうやら、ずっと電話を掛け続けていたようで、ようやく通訳が見つかったらしい。
受話器を取ると、見知らぬ日本人男性が話しかけてきた。
男「あなた、そんなところで何してるんですか?」
私「・・・いや、それがよくわからないんですけど、ホテルを探してたらここに連れて来られて・・・」
男「今いる場所がどんなとこだかわかってますか?」
私「いいえ、まったく」
男「スラム街のド真ん中ですよ!」
私「・・・・(絶句)」
男「警察としては、こんな夜中に独り歩きさせるのは危険だから“保護”したんだそうですよ」
私「あぁ・・・」
やっと、自分の置かれた状況を把握することができた。
電話が終わり、また机の上か・・と思いきや、日本語の話せる人がいるところに連れて行くとのことで、今度はパトカーに乗れと言う。
もう、深夜なのだが・・・。
パトカーの後部座席に乗り込むと、そこには先客がいた。
7~8歳くらいの黒人の少年だ。
白人の警察官に黒人の少年、そして黄色人種の私が、一台の車に乗り合わせている。
不思議な光景に思えるが、“人種のるつぼ”であるこの街では、それも珍しいことではないのかもしれない。
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