リマの日本人経営者
【52日目3】 ペルー・リマ
「私、今お金持ってないよ」
チャーリーは平然と言い放った。
…金もないのに人を誘って飲み食いするなんて、どういう神経してんだ!?
誘ったのはチャーリーだし、どちらが奢るとも言っていない。当然割り勘にすべき状況だろう。
チャーリーは現地人で年齢も私より2まわりくらい上なのだから、奢ってくれてもおかしくないくらいだ(そんなつもりはないが)。
しかも、私自身は節約のためにビールをガマンしたというのに、なんで他人の飲み代まで払わなきゃいけないんだ?
「全然ないの?」
「うん。後で返すからここは払っといてよ」
「ホントに??」
「うん。ホントホント」
彼は関係ないから自分の分だけ勘定してくれ!とウエイターに言い…たかったが、悲しいかな言葉ができない。
逆にチャーリーがウエイターになにやら話しかけていたが、きっと「彼が奢ってくれるんだって」とかなんとか都合のいいことを言っているに違いない。
…仕方なしに、彼の分も払った。
しかし「返す」という言葉は信用できないし、チャーリーの居所を知らない以上、別れたらそれっきりだ。
そこで、返してもらえるまでチャーリーの後をつけてやろうと思った。チャーリーは困惑気味だったが、かまうものか!
友達のところにお金があるとか言うのでついていくと、訪ねた部屋はもぬけの殻。チャーリーはああだこうだと言いわけをするが、それでも私はあきらめない。
尚もしつこくつけまわすと、だんだん険悪なムードになり、お互い無言に。
「外国人がこんなとこ歩いてると危ないよ」などと脅されたりもしたが、あいにく私は怖いもの知らずなのだ。
何時間か歩きまわっただろうか、私のあまりのしつこさに観念したのか、日本人がやっている店があるからと、とある店に連れて行かれた。
店の中には、経営者らしき日本人の老婦人がいた。
チャーリーが老婦人に現地語でなにやら話すと、老婦人の口からは意外な言葉が発せられた。
「その人は詐欺師でね、日本人旅行者をひっかるのが商売なの。だからもうあきらめなさい」
がーーーん……。
いや、そうだろうとは思ったが…そこまでハッキリ言われるとは。
というか、彼が詐欺師であるという事実よりも、その老婦人が詐欺を働いた彼を非難する様子もなく、同じ日本人である私に対して親しさも同情の欠片さえも見せないことの方がショックだった……。
※ご注意
決して私のマネはしないでください!一歩間違えば、もっと危険な目に遭っていたかもしれません。
被害額は日本円にして数百円(笑)なので、こういう場合はあっさりとあきらめてしまうのが賢明というものです。
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