旅の終わりと始まり
【エピローグ】
日本には、居場所がなかった。
そして、帰るべき場所もなかった。
そんな私にとって約3ヶ月ぶりの日本は、「帰ってきた」という感覚も薄く、以前にもまして違和感を覚えるようになっていた。
都会の雑踏に飲み込まれ、私という存在が希薄になってゆくのを感じる……。
世界一周に全財産をはたいてしまったため帰国時にはわずか数千円しか残っておらず、しかも寝る場所もない。
出発前にお世話になっていた住み込みのバイト先に電話すると、ちょうどシーズンに向けてオープン準備に追われているところで、即時雇ってもらえることになった。
東京からは少し遠く電車代がかかるが、手持ちの残金で辛うじて間に合う(これでもう完全にスッカラカン)。
そこは給料こそ安かったが、住み込みなので寝る場所には困らないし、3食付きで食べる物にも困らないので一安心だ。
バイト先では快く迎え入れてくれ、世界一周を称え、武勇伝?の数々を聞いてくれたりもしたが、そこはバイトの身、ご好意に甘えてばかりもいられない。
翌日からは旅行ボケを振り払いながらも仕事にかかり、以後数ヶ月に渡り、毎日10時間以上働いた。
その間、私の中では旅への渇望と抑えがたい衝動に駆られ続け、次なる旅への構想が練り上げられていた。
1年以内にロサンゼルスに戻ることはすでに決まっていたし、航空券もすでに手元にあった。
なぜなら… 実は、ロスで帰国用の航空券を買うときに「往復航空券」を買っていたからだ。
片道でよかったのだが、片道と往復とではほんの数千円しか違わず、片道ではもったいない気がして、往復にしておいたのだった。
そしてそれは、長い長い旅のはじまりとなる……
【The End】
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