ワーケーションという幻想
ワーケーションとは?ステイケーションとの違いは?
(カオル)
コロナ禍における新しい働き方として、ワーク(労働)とバケーション(休暇)を融合させた「ワーケーション」なるものが提唱されています。(自宅ではなく)観光地やリゾート地に長期滞在して、リモートで仕事をしながら旅行も楽しむ…という夢のようなお話。
似たような言葉に、ステイ(滞在)とバケーション(休暇)を融合させた「ステイケーション」というのもあります。(大きな移動はせずに)近場のホテル等に短期滞在して、旅行気分を味わおう…というような趣旨。
しかしながら、仕事を兼ねた旅行経験がある私からすれば、正直こういう旅行って全然楽しくないです。任務の遂行が何より重要なので、仕事以外のことをしたり考えたりする余裕がまずありません。この状況が楽しめるのは、成果を問われない単純作業をしている労働者か、おそろしく頭の切り替えが早い人、ある種のクリエイターくらいだと思います。
現実問題として、誰が旅費や滞在費を負担するのか、どこまでが経費として認められるのか等の疑問がありますし、子どもや要介護者を抱えている家庭では長期休暇がとれない等の事情もあり、実際に行動に移すのも難しい。これが本当に実行可能なら、(コロナさえなくなれば)収入を得ながら世界中を旅して暮らすことだってできてしまうわけです。
個人的には、そもそも(ワーケーションとは逆の考えで)仕事と旅行ははっきりと分けた方が良い、と思っています。なぜなら、旅行中に何かひとつでも「しなければならないこと」があると、そのことに因われて自由な感覚が失われ、せっかくの旅行を心から楽しむことができなくなってしまうからです。
今の難しい状況を乗り越えるために誰かが頭を捻って考え出したんでしょうけど、現状では実行できる環境にある人が極めて少なそうなので、まずは前提条件であるリモートワーク(テレワーク)をさらに普及させ、恒久化させることではないでしょうか。そうなって初めて、在宅勤務かワーケーションか、という選択肢が出てくるわけですから。
ステイケーションに至っては、無理矢理感がありすぎて意味がわかりません。宿泊施設を楽しむことが目的なら必然的に高級ホテル・高級旅館になりますが、(GoToトラベルキャンペーン利用で実質無料とかでもない限り)自宅周辺でわざわざ何万円も出して泊まろうなんて気分にはなれません。というか、(もっともらしく言い換えてるだけで)それって「普通の宿泊」じゃね?と突っ込みたくなります。
2020年11月16日 11:15
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